菜をノート

土地の文脈(石積)

更新日:2023年10月16日

現在、菜をのある土地は、長年空き家となっていた場所で、人が住まなくなって竹や雑草が生い茂り、建物も傷みがある荒れた状態でした。譲っていただいた土地の持ち主の方は、建物の解体を考えていらっしゃいました。(写真はこの土地を購入した初期の様子)
しかし、建物自体は外見とは異なり、しっかりと大きな地松材でつくられ、内装も上品な雰囲気の設えの残したいと思えるものでした。建物だけでなく、周囲の石垣も土地の石を使った五島ならでは佇まいで、多くは費用も手もかかる切石で積まれていました。今回はこの石垣について書きたいと思います。

菜をの改修前の様子

福江島の石垣は、火山が噴火した時に流れ出た溶岩が冷え固まってできた石、または土地から出た自然石を積んでつくられたものが多く、島のあちこちで目にすることができます。菜をの敷地も三方が石積みで囲まれており、その表情は当時の玄関側と裏側とでは異なり、趣のちがう面白さがあります。

当時の屋敷裏の石垣。自然の石の表情を生かした積み方。
正面玄関側の石積み。きれいに整形された切石とかまぼこ型の「脇石」、また、塀の上には小さな石が置かれている。
石積み修復の様子。

このような石積みも土地の自然や歴史を知る上で、大切なコンテクストであると考え、崩れたり欠けたりしていた箇所を少しづつ修復しています。周りは多くがコンクリートなどに置き換わっていますが、できる限り福江島の成り立ちやこれまでの暮らしを感じる素朴な場所として残していきたいと考えています。
菜をを訪れた際には、周囲の石積みなどの雰囲気も楽しんでいただけると嬉しいです。

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